04-07-02
お空のもっと高いところには女神様のお股があるのよ。雨は女神様のお小水なのよ。
私は母のスカートの裾を握ったまま、彼女の言うとおり空を仰ぎます。もちろん女神様なんて見えません。
女神様にもメンスがあるのよ。だから時々、地上に血の雨が降るのよ。
「ほら、こんなふうにね」
私の顔を覗き込む母は全身血まみれで、私はそのとき初めて「メンス」という言葉を知りました。
三十路迎えた今となっちゃ「ババア、誰か刺してきやがったな」と、冷静に思えますけどね。遠い遠い昔のお話。
04-07-15(今までで一番寒かった出来事大会)
戯れに夫の精子を顕微鏡で見てみたら手足が生えていたのに驚愕して以来、セックスには必ずコンドーム。
04-07-25
知らない間に自分がヤフーオークションに出品されていた恐怖。しかも入札者がひとりもいない悲しみ。
04-08-02(哲学)
「ねえ、人生ゲームやろう、人生ゲーム」
夫がいつの間に手に入れたのか、ボードゲームを持って走って来ました。
「どうせなら、負けたほうは罰ゲームしようね」
悠然と微笑みながら言う私に、
「罰ゲームは『死』ね」
答えた夫の瞳は笑っていないのです。
04-08-11
インターホンの音にいやいや玄関に向かうと、十字架背負ったイエスさんが立っていました。
「聖書の、ゴフッ、お、お話を、グフッ、し、しし、しません、ゲフッ、か?」
一言発するたびに飛ぶ血泡が私のTシャツに水玉模様を作るのが不愉快で仕方ありません。
「そんなことより日本のクリスマスイヴにおける不埒なカップルたちについてどう思われますか?」
つっけんどんに言ってやると、果たしてイエスさんは急に無言になってうなだれました。そのあまりのしょぼくれように「そういやこの人童貞かも」とさすがの私も思い至りました。
「あの、ごめんなさい」
おずおず詫びると、彼はいかにもキリストらしく「いえ、ゴポッ、お気に、グゥ、なさら、ないで」と微笑み、そのままよろよろした足取りで帰っていきました。彼が歩くごとに十字架が地面にぶつかる「こつん、こつん」という音が印象的な夏の夕方でした。