06-06-10(祝辞)
なにかになにかを吸い取られ吸い取られ、ついにはブルーカラーの夫や出来の悪い子どもとのほのぼのという名の貧乏くさい毎日をブログという手段で恥ずかしげもなく世間に公表しはじめるのが結婚生活です羨ましいなおめでとう心から。ええ心から。
06-04-08(心の翼が、今、時を飛ぶ)
僕の精子は瞬間移動するんだ、なんておもしろくもない冗談を言う男とやったことがあります。最初は精子が精神と聞こえ、くさい口説き文句だわって笑ったのですが、よくよく聞くと「せいし」。
いざことを終え、しっかりコンドームにたまった白濁液をからかう私に、男は真顔で言いました。
「じゃあ、この精液の中に本当に精子がいるかどうか、顕微鏡で見てみないかい? そして君がだだ漏れさせたバルトリン氏腺液の中も、念のため見てみないかい?」
そんなことよりモーテルに顕微鏡を持ち込む根性が嫌で、持参した金属バットで昏倒させたついでに彼の財布の中身も全部盗んで、私、逃げちゃいました。
未だに酒の席では武勇伝として語り草になっています。
06-01-25(昼メロ)某所に書いたもので、豚汁向けじゃないのは重々承知の上、「外に出してみたくなったはいいけど、いろいろするのは面倒」というだけで、しれっと更新文に使ってみました。2度とこういうことはしません、多分。し、しないんだからねっ! あんたなんてもう知らないっ! ……ばか……(//_//)
ハンバーグにしようとしたら、ひき肉が腐っていた。せっかくみじん切りにした玉葱とともに憎悪の対象になった3パック980円を、ゴミ箱に突っ込む。蓋のないゴミ箱は私に証拠隠滅を許さず、だらしなく開いた口から月経のような匂いを撒き散らした。 舌打ちしながら開けた冷凍庫にギリギリ存在していた鶏肉。と既に皿にあけてあったパン粉とを睨み、チキンカツを作ることにする。「ハンバーグ以前」はそれでも匂いで存在を主張しつづけ、学生時代「パンスケ」なんて古臭いニックネームとともに嘲笑されていた同級生を思い出させた。パサパサの髪の毛を長く伸ばした彼女は、コンパのとき、いつも香水をつけすぎていた。あと、3回に1回は前歯に口紅をつけていた。私は彼女と親友のふりをし続けていた。とにかく空気を読んでいただきたいということだ。お呼びでないのだ。 いらいらしつつも、ゴミ箱の中身をゴミ袋に移動させるのも億劫で、私は何もかも知らない処女のような按配で、鶏肉のパックを電子レンジに放った。
結婚5年目にして子どもはない。コンドームを利用しているからだ。子どもが欲しいわけでも欲しくないわけでもなくて、コンドーム着用しているから子どもがいないというだけで、コンドームをつけさせる理由は子どもが欲しいわけでも欲しくないわけでもないからだ。夫がそれについて何を考えているのかは知らないが、特に知りたくもないので、知らないでいる。 そもそも婚姻制度そのものに興味がなかった。結婚したら少しは興味がわくかと期待したが、それは他校の卒業アルバムよりも幻想だった。夫になる人に結婚してほしいと言われ、YESとNOとどちらが面倒か考えた結果、私は鶏肉を解凍している。 結婚と同時に越した土地には友人どころか知り合いもいず、働こうかとも思ったが、スーパーのPOSレジがこんなにしんどいものとは、と、1週間で辞めた。思い返せば辞めるため嘘の理由を考えたのが、この結婚生活における夫婦の一番エキサイティングな瞬間だったかもしれない。そしてそのまま働かない。友人もできない。し、そもそもそんなもの自分に必要なのかどうか。 高校時代の友人は進学を機に縁が切れたし、短大時代の友人は就職を機に縁が切れたし、OL時代の友人は結婚を機に縁が切れたし、じゃあ、結婚した後にできた友人というものは、果たしていつを機に縁が切れてくれるのだろう。想像すると恐ろしかった。
つけっぱなしのTVはニュースを歌い続けている。我が国の首相について、アナウンサーがひどく生真面目に何か言っている。批判的な口調だということは、きっと、首相は悪い人で、この国も悪い国なんだろう。TVなんてすごいものに出ている真面目そうな人が言うことに、間違いはなかった。何かがわかったような気がしたのと同じ瞬間に、レンジが泣いた。 夫は、ドレッシングだろうがカレールゥだろうがミートソースだろうが、なんでも「タレ」と呼んだ。彼の「タレ」攻撃を免れているのはしょうゆだけだった。夫は、よく知らない食べ物を目前にすると、かならず匂った。それどころか、よくわからないもの何でも、初めて目にした次の瞬間には鼻を近づけて、くんくんやった。 彼について嫌いなのはこの2点だけなので、充分結婚するに値すると結婚前には思っていたが、未だにその選択が正しかったのか間違っているのか、結論できずにいる。否、そもそも考えていない。もう、いいのだ。何もかも。今、私はこうなっているのなら、こうなのだ。ハンバーグにするひき肉が腐っていたからチキンカツなのだし、コンドームしているから子どもがいないのだし、働いていないから結婚していて友達もいなくてこの国は悪い。偉大な自然。夜がきて、朝がきて。
鶏肉に小麦粉をなすりつけようとして、鶏肉は女性器によく似ている、と思った。嘘。まんこのようだ、と思う。思う自分をつくづく主婦だと感じ、例えば結婚前なら、そんなこと思わなかったか考える。
OLだったころなら、夫にナンパされる前なら、短大のころなら、処女のころなら、高校生のころなら。
机につっぷした。
私はいつだって、鶏肉を見て「まんこのようだ」と思うのだ。どんなに遡ろうと、どんな選択をしていようと、私は常に鶏肉をまんこに例える女なのだ。
号泣したかった。したいように思うだけかもしれなかった。涙はどうしたって出ないのを、私は既に知りすぎていた。
06-01-16
ある時、ひとつの耳が落ちていました。こっそり拾って自分にくっつけてしまえ。そうすればより色々聞けて、よりたくさん知ることが可能かも。確かに一瞬は心動いたのです。
しかし、真実をも知ってしまうかもしれない。そう考えるとぞっとして、私はその耳を気付かなかったことにしてしまいました。
そうして母は、落ちていた耳がそもそも自分のものだったと知らぬまま、自分の聞きたいことしか聞こえない片耳で、今日も元気に近所の奥様と井戸端会議をしています。
05-07-18
咳をしたらおしっこが漏れて顎がはずれて死にました。
自己紹介
濡田(ヌレタ)おまん子と申します。昭和5X年生まれ。無職。既婚。
父、母、夫と暮らしています。妹は既に嫁ぎました。友達はいません。
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