歌
正月以来の風邪で(私ときたら、毎年正月に風邪をひく)しばらく良い子にしてたら、僕もう我慢できない、だって。
こんなかすれた声の女によく勃起するねって言ったら、君がその声でいる間に是非やっときたかったんだ、なんて鬼畜なお答え。それで「愛してる」とか、よく言えるなあって本当、感心する。
久しぶりのファックはあっけなく彼が果てて、やっぱりしばらくやってないと我慢できなくなっちゃうんだねって、ちゃんと1人で抜いとけよって、しゃがれ声で言い放ってやった。彼? コンドーム片付けながら、しょんぼりしてたよ。ざまあみろ。まあ私も正直、気持ちよかったんだけどね、それなりにね。それなり。
今日、いつまでたっても治らない声にうんざりして、ついに病院に行った。医者が「安静にしてなくちゃだめだよ」なんて、ちょっと冷やっとした。彼が私たちの罪深いファックのこと、知るはずがないのにね。
帰り道、彼に医者の言葉を伝えたら、ほら僕の言うとおりじゃない、いつも夜遅くまで起きてるから駄目なんだよ、ときた。まじめくさった顔して、白々しいったら!
でもお医者の言うとおりにしたら、また普段の声に戻るんだね。またいつものあえぎ声聞けるんだね。
この男ときたら、まったく。私はアメリカ人より大げさに肩をすくめてみせた。
なんだよ、鼻の穴膨らませちゃってさ、そんなことしか言えないの?
だって君のあれってね。
彼、まじめくさった顔のまま、ぼそぼそ呟いた。
どんな音楽よりいかしてるんだよ。
(かすれ声のあれは、やっぱり不満だったんじゃないか)。一応ふくれてやりながら、照れずにこういうこと言っちゃう彼の愚かさを、実はけっこう気に入ってたってこと、思い出してた。